鳴門プロジェクト:フランス・パリとモナコでの販路開拓

2022年7月、鳴門を中心とした徳島県内の飲食関連事業者連携によるフランス・パリとモナコでの販路開拓プロジェクトがスタートしました。

鳴門プロジェクト:フランス・パリとモナコでの販路開拓詳細は画像をクリック

当プロジェクトは、鳴門市及び周辺地域の食品・雑貨でフランス、及びモナコ市場の開拓を目的とするもの。「食」や「工芸品」など分野ごとの展開に偏りがちであった従来の方法で販路開拓を進めるのではなく、複数の事業者の製品を組み合わせて販路開拓を進めるプロジェクトです。

テーブルウェア、キッチンウェア、デザイン・雑貨・ファッション分野における日本製品につき、フランスを中心にヨーロッパ販路開拓に多くの実績を持つ弊社ABINGPLUS エービングプラスが大きな柱となり、

・エリアマーケティングリサーチ、及び商談候補リサーチには、現地フランス人スタッフ
・テスト販売店との連携・調整、及び商談候補リサーチには「フランスにおける日本の食品」の分野の営業に強い日本人スタッフ
・モナコはフランスとはまた違った独特の国であることから、モナコの事情に精通しているモナコ在住日本人スタッフを、テストマーケティングコーディネーター、テスト販売・営業コーディネーター

として配置。

2022年7月の鳴門の事業者訪問からスタートし、2023年3月末までの期間に、フランス7店舗(オンラインBtoBマーケットプレイス含む)、モナコ2店舗でのテスト販売を実施しました。

鳴門訪問

参画事業者 (一部)

オフィシャル・ウェブサイト


テストマーケティングイベントを実施(一部)

パリ(画像をクリックすると動画がご覧になれます)La Bascule


Kushikatsu Bon

Narro

Umami Matcha Café

モナコ

約6ヶ月に渡るフランス・モナコ販路開拓活動を終え、概して今のトレンド、つまり「エコフレンドリー」「環境配慮」「地域に根ざすものづくり」というコンセプトに即したものが好まれ受け入れられること、そして無駄遣いのないインパクトのあるパッケージデザインが重要であること、価格は市場価格から大幅に離れていなければある程度の許容範囲であること等、多くの実情を目の当たりにしました。問題になるのは納期と送料。そして現地の輸入・物流体制が整っていることが第一条件であり、事業者・現地インポーター兼ディストリビューターの存在はビジネスを継続する上で不可欠な要素であることも改めて実感することになりました。

特に食品に関しては、既にフランス人に馴染みのものは説明がいらないが、そうでないものは説明が必要です。それはパッケージに記載するか、あるいはデジタル化してQRコードで使用方法、調理方法の動画のリンクに飛ばすかなどして、自宅でも再現性があり、ヨーロッパの日常生活において気軽に取り込め、応用が効くものであることが望ましいです。 様々な食材が並ぶ棚では、センスの良いインパクトのあるパッケージはやはり目立ちやすいし、手に取りやすい。 日本製とわかるデザイン性のあるパッケージの作成は非常に重要なポイントであると言えるでしょう。食べてみたい、飲んでみたいと思わせる魅力があるからこそ手に取り購入する。次のステップとして使い方、調理の仕方、おすすめの飲み方等をシンプルに伝える手段を用意しておくことも大切です。無数とも言える日本酒がフランスで紹介されている昨今、消費者にとってはどれが美味しい酒なのかわからない状態であるのが実情。最低限、甘口/辛口、アルコール度数、合う料理、温度(冷やしたものか、常温か)等の情報をしっかり伝えることは不可欠なのは言うまでもありません。フランス、モナコでブランディングの出来ている日本酒はまだまだ少ないと言えるでしょう。

世界最大級の渦潮が見られる鳴門海峡のイメージを想起させる藍の“青”をテーマに、海・水・空で地球の自然に優しいライフスタイルを、フランス・モナコの人たちへ提案したことで、日本への関心の有無の関係なく身近に徳島・鳴門を感じてもらえたのではないでしょうか。「ジャパンブルー」「安心安全な日本製品」「鳴門・徳島の水が綺麗な里山の文化で育った食と伝統の文化」これらのキーワードを、ライフスタイルの発信地であるフランス、本物志向のモナコの人に改めて感じてもらえる大変良いきっかけになったことは間違いないです。

徳島・鳴門プロジェクトのプロモーションに関し、記事が掲載されました。

一方で、現地では新しいものを求めているという手応えを感じました。これまでたくさんの日本製品が紹介されたり販売されたりしてきましたが、日本ブームで日本製品が飽和状態の今日、今までとは何か違うものを求めているのです。日本好きの人が好む日本製品の市場は既に存在します。お酒、食品、食器等は既に十分に馴染みがあるのです。ただし、イメージと雰囲気で気軽に取り入れやすいように、今回それらをひとまとめに編集して提案する、つまり日本製品をヨーロッパのライフスタイルに気軽に取り込めるものとして紹介したということで、まず何よりも親しみを持ってもらえたのではないでしょうか。

現地のフランス人に、自らのライフスタイルをトレンドに合うように取り込み再編集してもらえるよう提案するというやり方はあっていたということになるでしょう。もちろん全商品が受け入れられたかというと、それは一概には言えず、専門性のある店や消費者に単独で訴求した方が販路開拓の可能性が高いと思われる商品もありました。やはり食品とのつながりで器類は高い評価を受けました。器類で求められる点は、日常使いに耐えられるほど丈夫であるかという点です。デザイン性の高さを評価した人は多くいました。ただし、いずれも飾っておくものではなく普段使いのできるものというのが条件です。

物流コストの高騰により、日本輸出後の現地販売価格がますます高くなってしまうのは避けられません。それでもファンを獲得し、そのファンをいつまでも大切にするようなケアが大切となると実感しました。

また、一社ではなく複数の様々な分野の事業者が集まり、同地域から混載便を出せるような物流体制が整えられれば理想でしょう。販路開拓に際して、輸出に関する業務にハードルを感じる事業者のサポートや、現地での受け入れ体制、つまり現地で輸入し宣伝し提案していくというステップを任せられる現地の存在も必要です。土地ごとのニーズを熟知したスタッフが具体的な提案を行っていくということが大切であると実感しました。今後販路開拓を継続していくためにはこの体制は必須であり、そして継続することに意義があると確信しています。


BSフジにて放映されました。

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